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【映画】ブラッククランズマンを日本人が観た結果

ブラッククランズマン

ネタバレあり

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「キャプテンマーベル」「運び屋」「グリーンブック」と注目作が目白押しな今、こちらも大注目な「ブラッククランズマン」を観てきました。公開2日目ということで日比谷シャンテも大盛況。スパイクリーでアダムドライバーで、って、観るわなぁ。製作に携わっているジョーダン・ピール監督の前作、「ゲット・アウト」は大大大傑作であった。さて、本作は。。。

 

おもしろかった。

 

ま、でもアメリカの観客ではないということはスパイクリーの映画を観るということに大きく影響するなぁっちゅうことで。スパイクリーっていう人はドキュメンタリック(?)なテーマを物語に落とし込む作家性な訳で、今回も「差別や憎しみっていうのは昔の話じゃなくて今も厳然と存在してる、君はどう思うんだ」っていう作品になっていた。

 

そのテーマがいかに自分にとって「リアル」かということは映画の感じ方に大きく影響する。(当たり前)

 

例えば黒沢清クリーピー」とかって、日本の普通の住宅街が舞台で、それは自分のすぐ近くにあるもの。なんとなしに普段感じている不気味さとか怖さとか、そういうものがムンムンと立ち上がってくるところに非常な魅力を感じるわけで、日本に生まれ育った自分のリアルな心象風景と画がリンクする。

 

それ言い出したら、、、ってなるけど、本作「ブラッククランズマン」は上述の「それ言ったらおしまい論」を呼び起こす作りになってると思う。

 

前半は秀逸な潜入モノかつ人種を扱った冗談も頻発するエンタメ(実態はかなりシリアスだけど)な作り。途中に最近聞いたことあるなあってセリフが聞こえてきて、それはトランプ大統領の言葉だったりする。なるほどな、1970年代が舞台だけど最近も似たようなヤバイこと言ってる人いるよね、スパイクリー節!!とか思っていると、ラスト、実際にトランプ大統領アメリカ国内のデモの映像が流れる。かなりドメスティックなメッセージだと思った。いや、普遍的なテーマを扱っているし重要な意味を持つ映画と思う。けどやっぱここまでポリティカルだと「アメリカ国内」っていう意味合いが強い。

 

本作に対するこの感情は何なのか、、、「デトロイト」とか「それでも夜は明ける」とか同じスパイクリーだと「ドゥザライトシング」とかハードにアメリカ国内のテーマを扱っている作品でも心に響くものはある。やっぱり本作は明らかに意図的に現実の映像をラストに持ってきている、という点で他と一線を画すのだろう。まぁ観客をこういう気持ちにさせることこそスパイクリーの狙ったところなのかもしれない。かもしれないというか、そうだろうな。

 

でも正直、映画体験として言うなら「ゲットアウト」の方が脳天ぶち抜かれた。<脳のコントロールを奪われる>という設定なり映像表現が<被差別の仮想体験>として機能していた。映画を観ていて「差別」の邪悪さを心の底から感じたし、映画というフォーマットでしか描けないボーダレスなメッセージの伝達方法だった。

 

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まとまりないけど要するにスパイクリーぶちギレてるし、これが今のアメリカだねヤバイねって感じ。